« ひたむきな愛 | トップページ | オロチ »

2005年4月29日 (金)

歌仙『誰も誰も』の巻

                   捌き・川野蓼艸

     誰も誰も居らずなる野や蝶もなし   篠見那智

       ただ真白なるノート晩春       川野蓼艸

      膝まづき我を埋めよと花受けて    瀬間文乃

       タッチソフトで点描にする       葛城軽天

      月のぼる昼から夜へ万国旗      粉川蕩人

       夢物語虫の伴奏            小池舞

     しんとして葡萄酒かもす音を聞く    村田実早

       かりそめのごとささめきのごと       那智

      白き肌赤き唇紗に透けて           軽天

       悲しみ移すてのひらの上          那智

      蓋をして釘を打つなりコツコツコツ      舞

       こんな晩にもよく眠る奴           舞

      子育ての飴買ひに出る冬の月        実早

       コンクラーベ果て生るる教皇        文乃

      シンフォニー風に巻かれて街中へ      軽天

       サーカス去りて跡形もなく          文乃

      桃の散る女の児にも男の児にも       蕩人

       軟着陸せよ うらら衛星           文乃

ナオ     今の戦は人間不在武器霞む         実早

       棒鱈ゆっくりほぐしゆく祖母         舞

      漂ひて肝胆くらく病みをりぬ          那智

       ゴール直前抜ける差馬           軽天

      閻魔堂より六本木坂まで歩す        那智

       世界が変る ほだされてゆく        那智

      恋文は紙ヒコーキでやってくる        文乃

       紅茶に混ぜるストリキニーネ        文乃

      雷は予言通りに鳴り出して          軽天

       虚空を指すかリア王の杖          文乃

      自画像に月描き足して寂しかり       実早

       とまどひつつも蛇穴に入る         舞

ナウ     我が友の自裁の菊を捨てきれず      蕩人

       停車場で聞く遠き舟唄           文乃

      音もなく雪しんしんと降り続く         舞

       「阿Q正伝」つれづれに読む        文乃

      故郷の地球を花は覆ひたり         軽天

       水のかなたに逃げる逃水          那智

        平成十七年四月二十四日(日)  於・西荻「遊空間」

         註・タッチソフト:パソコンで写真を加工するソフト

         ※カタカナ打越不問。鱈、馬、異生類打越不問。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100535/3911145

この記事へのトラックバック一覧です: 歌仙『誰も誰も』の巻:

コメント

これはまた現代的な軽快さですね。
率直な感想としては、すこし、マイナスの感覚が多いかなという印象ですが。
居らず・もなし・埋めよ・去りて・跡形もなく・散る・不在・病み・虚空・逃げる。

 紅茶に混ぜるストリキニーネ    文乃

がなかなかよく効いているように見えます。

勝手な感想で、失礼いたしました。

投稿 かわうそ亭 | 2005年4月30日 (土) 23:46

 ご感想ありがとうございます。
 連句って、みんなで作ってるときは「なかなか良いものができた」って満足してるんですけど、第三者の方から感想をいただけると、自分たちの気づかなかったことがわかったりして、とても参考になります。
 是非またよろしくお願いします。

投稿 Keiten | 2005年5月 1日 (日) 00:42

コメントを書く