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2006年5月29日 (月)

魔法使いブラン~巨大いん石衝突を回避せよ!!の巻~第10回

 とても風が強い朝でした。いん石がとうとう大気圏に突入したため、もうその影響が出ているのです。
 サッカーボールほどの大きさになっているいん石は、もはや太陽の光の中でさえ、その輝きを失うことはなく、人々の頭上を不安と混乱でおさえつけているようでした。
 タロウたちは、ブランたちが「お魚さん救出大作戦」を決行している間にエスト湖の湖岸にみんなで掘っておいた大きな穴の中に潜んでいました。そこは、いん石を迎え撃つための前線基地でした。
 ブランは先ほどからずっと上空のいん石を見つめていましたが、やがてゆっくりとタロウたちの方へと振り返りました。
「いいかい、みんな。魔法は『心のチカラ』なんだ。みんな、ぼくにチカラを貸してくれ。みんなの強い心が一つになれば、きっといん石をはね返すことができるから」
 全員、ブランの目を見てうなづきました。

 そのころ、ノワールとグリ先生は、落下してくるいん石をめざして、はるか上空にいました。いん石に魔法をかけるため、ノワールがグリ先生を背中に乗せて、空を飛んでいるのです。
 いん石に近づけば近づくほど風は荒れ、空気との摩擦熱によって燃えさかるいん石の熱気で、まるでオーブントースターの中にいるような暑さになっています。
「先生、これ以上近づくのは無理だ」
 ノワールは唇をかみしめながら言いました。事実、荒れ狂う風と熱気の中で、ノワールは今にも魔法の制御を失って、墜落しそうな状態でした。
「やむをえんじゃろう」
 グリ先生は、じっといん石を見据えました。
「ここから魔法をかける」
 ノワールとグリ先生のいる位置からいん石までは、まだ百メートルほどありそうでした。
 ノワールは不安そうな表情でグリ先生の顔をうかがいました。なぜなら、魔法使いとしてはまだ若いノワールは、今までこんなに遠くから魔法をかけたことがなかったからです。
 しかし、グリ先生は、
「ここからいん石を止める」
 と、言い放ちました。
 グリ先生は目を閉じると、ゆっくりと、大きくひとつ呼吸をしました。
 そして一気に目を見開くと、
「ケル・ベル・ファム!」
 全魔法力を込め、いん石に向かって思い切り杖をふりました。
 強大な魔法力が、ピンク色の光の帯となって一直線に空を駆け、一瞬のうちにいん石を包み込みました。
 まるでビデオを一時停止したみたいに、いん石は音もなくその場に止まりました。いん石を包む炎さえ、少しも揺らめくことなく、同じ形のまま固まっています。
(1、2、3、4……)
 グリ先生は心の中で数をかぞえ始めました。「作戦」では、小学校の校庭の十倍くらいはありそうな、あの巨大ないん石を、二十秒も止めなくはいけないのです。
(7、8、9、10……)
 想像を絶するほどの疲労が、グリ先生に襲いかかってきます。短い時間の中でこれほど大量の魔法力を持続的に使うのは、千年以上の人生の中でも初めてでした。
(13、14、15……)
 グリ先生の呼吸が、ぜえぜえと荒くなってきました。極度の疲労感は、もはや苦痛へと変わっていました。
「先生! 頑張ってくれ! あと少しだ! オレの『心のチカラ』も送るから!」
 暴風と熱気の中で飛行を安定させるだけでも精一杯のノワールは、何のためらいもなく「セ・サンパ」の魔法を解除しました。グリ先生に「心のチカラ」を送ることだけに専念するためです。ノワールとグリ先生は急速に落下しはじめました。地上の構造物が見る見るうちに大きくなってゆく中、かれは先生のために強く祈りました。
(18、19、20!)
 グリ先生は、とうとう巨大いん石を二十秒間止めることに成功しました。
 限界を超える魔法力を使ったグリ先生とノワールは、同時に意識を失ってしまいました。
 それぞれの役目を果たした二人は、重力にまかせるままに大地へと落下していきました。

       -つづく-

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2006年5月28日 (日)

SÜITÉNGÛ

SuitenguC'est 《Süiténgû》, lequel est un temple shintô. Un dieu d'accouchement facile est ici. Alors, beaucoup de femmes enceintes, jeunes mères avec ses enfants et ses maris y viennent.
Si tu ou ta femme deviens enceinte, viens ici!

これは「水天宮」という神社です。ここには安産の神様が祀られています。大勢の妊婦、子どもを連れた若い母親たちとその夫たちがここを訪れます。
もし、あなた、またはあなたの奥さんが妊娠したら、ここへ来てください!

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AKIHABARA

Akiba_1Je vais à Akihabara de temps en temps. Akihabara est la ville où beaucoup de produits des jeu vidéo et des animé se vend. Les gens qui aiment le jeu vidéo ou l'animé les appellent 《Akiba-kei》. Mais, je ne le suis pas. Car je fais le jeu vidéo un peu, mais je ne m'interesse pas l'animé.
La raison pour laquelle j'y vais est ce qu'il y a le café que j'aime. J'aime aller au café. Je n'achète qu'une tasse de café et j'y reste plus de 2 heures ou 3 heures. Je fais différentes choses dans là: lire le livre, apprendre le français ou l'anglais, écrire le poème...
Le café est mon bureau.

僕は時々秋葉原に行きます。秋葉原はゲームやアニメの商品がたくさん売っている街です。ゲームやアニメが大好きな人たちは「アキバ系」と呼ばれています。でも、僕は違います。なぜなら、ゲームは少しするけど、アニメには興味がないからです。
僕が秋葉原に行く理由は、好きなカフェ※があるからです。僕はカフェに行くのが好きです。コーヒー1杯で、2時間か3時間以上居座ります。そこでさまざまなことをするのです。本を読んだり、フランス語や英語を勉強したり、詩を書いたり……
カフェは、僕の書斎なのです。

※メイドカフェではない。

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2006年5月25日 (木)

魔法使いブラン~巨大いん石衝突を回避せよ!!の巻~第9回

 ボブは、かれにとってはやや窮屈な子供用寝袋の中で、その夜何十回目かの寝返りを打ちました。寝袋のせいか、慣れない場所で寝るせいか、どうしても寝場所が落ち着きません。
「眠れないのかい?」
 ボブにそう声をかけたのは、隣で、やはり彼女にとっては窮屈な寝袋にくるまって寝ていたボブのママでした。
 ボブは何も答えませんでした。
 しかし、ボブのママは聞いているのかいないのかわからない息子に対して、さらに話し続けます。
「そりゃあそうだろうねえ。明日の朝には、あんたの生まれ育ったモンドの村が跡形もなく消えちまうってんだからねえ。世の中、何が起こるかわからないもんだよ」
(モンド村が消える?)
 ボブは心の中でくり返しました。
(そんなことはさせない。モンド村はオレたちみんなの村だ。いん石だろうが何だろうが、だれにも破壊させない)
 ボブは寝袋の中で拳をぎゅっと握りました。
「守ってみせる」
 気がつくと、そう声に出していました。
「え? 何だい? 何て言ったんだい?」
 ボブのママは、何度も問い返してきます。
 ボブは思わずママに背を向けて、ごろん、と転がりました。
「な、なんでもねえよ! 早く寝ろよ!」
 ボブは寝袋の中の温度が、少し高くなってくるのを感じていました。

 キャスの一家は全員、まだ起きていました。
「今夜は眠れないだろう。だからみんなで好きなだけおしゃべりをしよう。どうせ明日も明後日も、会社や学校は休みなんだから」
 キャスのパパはそう言うと、キャスとキャスの弟とそれからママに、自分が生まれてからずっと住み続けてきたモンド村での思い出話を熱心に話し続けました。話は後から後から続いて、一晩中とぎれることはありませんでした。
(一番眠れないのはパパなんだわ)
 キャスはそう思いました。

 学校のうら山の芝生の上で、チェンは両手のひらをまくらにして、星空を見つめていました。静まりかえった夜の空気の中で、木々のざわめきと虫の声だけが、チェンの耳の中に入ってきます。
(明日の「作戦」は本当に成功するのだろうか……?)
 何か重大な欠陥があるのではないだろうか、という思いがずっと頭から離れず、かれは眠ることができませんでした。
 直径一キロメートルもの巨大いん石をはね返すという、人類史上例のない行為を、かれらは明日実行しようとしているのです。
 失敗は許されませんでした。
(失敗したら……)
 みんな死んでしまうだろう。
 タロウ、ボブ、キャス、ブラン、ノワール……チェンの頭の中に次々と仲間たちの顔が浮かんできました。みんな、チェンに微笑みかけてきます。
(そうだ……)
 チェンは寝たままの姿勢で空中に右手を伸ばすと、夜空に輝く星をつかむようにして、強く拳を握りしめました。
(あいつらはオレの「作戦」を信じて一緒に戦ってくれるんだ。あいつらのためにも……明日の作戦は絶対に成功させてやる!)

 月明かりの差す小学校の屋上に、タロウはたたずんでいました。フェンス越しに、かれは東の方向を見つめました。そこにはかれがつい一昨日まで生活していたモンド村があるのですが、村人全員が避難したため、明かりという明かりが一つもついておらず、村全体が黒々とした影に飲み込まれていました。
 あるいは、いん石はもうすでに衝突してしまっていて、あそこには月の光の侵入さえ許さない巨大な穴が開いているだけなのかもしれない。
 そんな風に思わせる光景でした。
(消滅させるものか……)
 そんな思いが、タロウの胸一杯にこみ上げてきました。
「眠れないのね」
 不意に背後から女性の声がしました。
 タロウのママでした。
 屋上は「立入禁止」になっているはずでした。普段は信号を無視することさえ許さないママが、自分でルールを破って屋上に来るなんて……。
(ぼくをしかりに来たのだろうか?)
 一瞬、そんな考えが頭をよぎりました。
「明日、ブランちゃんたちと『何か』をするのね? いん石を止めるための『何か』を」
「…………」
 タロウは明日の作戦について、他のみんなと同じように、家族には何も言っていませんでした。
 しかし、ママは気づいていたのです。自分の息子とその仲間たちが、命をかけても自分たちの村を守ろうとしてることを。
 タロウのママは、悲しそうな目はしていませんでした。タロウや仲間たちと同じ、「何かを決意した者の目」をしています。
「ママは何も言わないわ。だって、あなたは男の子だものね」
 ママはタロウにほほえみかけながらかれを引き寄せ、抱きしめました。
「小学生の息子が危険なことをしようとしているのに、こんなことを言う母親はいないかもしれないけど……」
 ママはいっそう強くタロウを抱きしめます。
「頑張って。私はあなたを信じてるから」
 そう言うと、ママは避難所へと帰っていきました。
 ママから胸一杯の勇気をもらったタロウは、空をにらみました。皓々たる月の隣に、それよりも少し小さく、しかし月をあざ笑うかのように強い輝きを放っている星があります。それは明日、村へと落ちてくるいん石です。
(絶対にはね返してやる!)
 決意を胸に、タロウもまた避難所へと戻りました。
 避難所では、タロウの妹と、先に帰ったママがすでに寝息を立てていました。
 ママのほおに涙の跡があることに、タロウは気がつきませんでした。

       -つづく-

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2006年5月21日 (日)

魔法使いブラン~巨大いん石衝突を回避せよ!!の巻~第8回

 翌日、村人全員が避難して無人となっているモンド村で、「お魚さん救出大作戦」が決行されました。
 まずはブランが、村で一番大きな建物「総合体育館」の屋根を魔法で「巨大な投網」にします。
 その投網を今度はノワールが魔法でふわふわとエスト湖まで持って行き、湖の中の魚たちを一気にすくい上げます。
 すくい上げられた魚たちは、すぐにグリ先生の魔法で時間を止められます。モンド村まで運ばれる間に窒息死することを防ぐためです。
 ノワールがお魚さんたちでいっぱいになった網をモンド村まで運ぶと、そこではブランが「総合体育館」を巨大な水槽にして待っていました。水槽の中にはたっぷりと水が満ちています。ブランが建物の中の壁も柱も床も、中にあった全てのものを魔法で全部すっかり水に変えてしまったのです。
 ノワールがその巨大な水槽の中にお魚さんたちを入れると、ノワールの背中に乗っているグリ先生が魔法を解除します。お魚さんたちは、何事もなかったかのように生き生きと動き出しました。
 休む間もなく、ノワールとグリ先生はカラの投網を操って、再び次のお魚さんたちを救出すべく、エスト湖へと戻っていきました。
 こういった作業が、一日中続きました。
 巨大なエスト湖の魚たちを全部移すには、「総合体育館」を水槽にしただけではとても足りず、ブランは小学校、中学校、高校の校舎や体育館など、村中の大きな建物をすべて水槽に変えてしまいました。
 ノワールは「セ・サンパ」の魔法を使って、モンド村とエスト湖の間を何十回も往復しました。
 グリ先生も魔法の使いすぎでへとへとに疲れ切ってしまいました。
 ともかくも、魔法使いたちはエスト湖中の魚たちを避難させることができました。
 これでいん石を迎え撃つための準備が終了しました。明日はいよいよ巨大いん石が落下してくる日です。

 その夜、四人の子どもたちは一旦、家族のいる避難所へと帰りました。グリ先生は今晩も泊まっていくように言ったのですが、かれらは全員一致で帰ることを決めていました。
 なぜなら、かれらはみな重大な決意を胸に抱いていたからです。明日決行する作戦を失敗すれば、かれらはみな確実にこの世からいなくなってしまうでしょう。
 もしかしたら、今夜が家族との最後の夜になるかもしれない。
 そんな想いが、かれらを家族の元へと帰らせたのです。

       -つづく-

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2006年5月16日 (火)

魔法使いブラン~巨大いん石衝突を回避せよ!!の巻~第7回

 数分後、3人の魔法使いと4人の子どもたちは、再び居間へと集まっていました。時計の短針はすでに「2」を回っています。
 室内は張りつめた空気で満ちています。深夜にもかかわらず、全員の意識が覚醒していました。
 全員、だまってチェンの第一声を待っています。
「いん石をはね返す」
 チェンは言いました。
 予想もしていなかった発言に、みんな一瞬、かれが何を言っているのかが理解できませんでした。
「どうやっていん石をはね返すの?」
 タロウがふしぎそうな声で質問しました。
「ゴムではね返す」
「何だそれ? まさか冗談言ってるんじゃないだろうな?」
 軽蔑しているかのようなボブのセリフに、しかしチェンは動じることなく、言葉を続けます。
「エスト湖をブランの魔法で巨大なゴムの塊にする」
 チェンは、まるでジグソーパズルを一片ずつはめていくようにして話を進めていきます。
「そんな、ゴムなんかで……」
 タロウが失望したようにつぶやきますが、チェンはさらに続けます。
「ブランはいつも、魔法は意志のチカラだと言ってる。ブラン、直径1キロのいん石をはね返す巨大なゴムを作ることはできる?」
 チェンがブランの方をうかがいます。
「できる……と思う……」
 ためらいを含んだ声で答えたブランですが、
「いや、やるしかない。やる」
 と、すぐに決意の表情で言い直しました。
「でも、どうやっていん石をエスト湖に落とすの? このままだと、いん石はモンド村の中央に落ちてくるのよ?」
 今度はキャスが疑問を口にします。
「地球は自転している、って理科で習ったろ?」
 チェンは野球のボールを取り出すと、マジックで黒い点を書き込みました。
「地球全体が、こう回る……」
 言いながら、チェンは左の手のひらにのせたボールを右手でゆっくりと横に回します。
 マジックでつけた黒い点が一周しました。
「これが一日だ」
「その、自転と何の関係があるんだよ?」
 チェンの真意がつかめないボブはいらだちを覚えているようです。
 しかし、チェンはボブの問いにすぐには答えず、再びマジックのキャップを開けて、さっき書いた黒い点の隣、少し離れた位置に白い丸を書き込みました。
「この黒い点がモンドの村。こっちの白い点が、エスト湖だ」
 チェンはみんなにボールが見えるようにしながら、説明を続けます。
「もし、このまま何もしなければ……」
 と言うと、チェンはポケットからビー玉を一つ取り出して、
「いん石はモンド村に落ちる」
 ビー玉を黒い点にあてがいます。
「でも、いん石を上空で一定時間止めると、その間に地球は自転して……」
 チェンは左手の上のボールを少しだけ横に回しました。そして、
「いん石はエスト湖に落ちる」
 今度はビー玉を白い点にあてがいました。
「つまり、いん石を止めるのがワシの役目というわけじゃな」
「グリ先生を上空のいん石近くまで運ぶのが、オレの役目だ」
 グリ先生とノワールは、それぞれの自分の役割をもう理解していました。
「ふむ。一定時間いん石を止めるということじゃが……直径1キロメートルのいん石か……。ワシの魔法で止められるのは……5秒、といったところじゃが?」
「すいません。20秒止めてください。ぼくの計算では、いん石をエスト湖の中心に落とすためには、20秒間止める必要があるんです」
 さらりと言ったチェンの言葉に、老魔法使いはしばらく考え込んでしまいました。しかし、
「わかった。やってみよう。弟子たちも頑張るのじゃからな」
 と言って、グリ先生はウインクしました。
 これで会議は終了。
 と思われたのですが、最後にキャスが声を上げました。
「待って! エスト湖をゴムにしちゃったら、そこに住んでいるお魚さんたちはどうなっちゃうの?!」
 これはチェンも予想していなかった質問でした。

       -つづく-

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雨の日の猫 その3

Oshiri おしり。
 顔のアップは結局撮りそこねました。

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雨の日の猫 その2

Atama うしろあたま。

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2006年5月15日 (月)

雨の日の猫 その1

Approach 猫発見。
 遠くからデジカメを向けると、近寄ってくる。

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2006年5月11日 (木)

魔法使いブラン~巨大いん石衝突を回避せよ!!の巻~第6回

 その晩、みんなはグリ先生の家に泊まりました。親たちにはブランがちゃんと連絡をしておきました。夏休みや冬休みにブランやノワールと子どもたちだけで、泊まりがけの旅行に行くことは、珍しくありませんでした。かれらは立派な魔法使いとして信頼されているのです。今回は非常時ですが、それでも親たちは承諾してくれました。むしろ非常時だからこそ、子どもたちには何の不安も抱くことなく、自由に遊んできてほしい、というのが親たちの想いでした。
 みんな眠ることができませんでした。まるで「運命」という比重の重い空気が部屋中を支配し、「眠気」を追い出してしまったかのようでした。
 夜十二時を過ぎても、だれも電灯を消そうとはしませんでした。タロウとボブは壁によりかかりながら座り、床や天井を見つめていました。キャスは窓の外の星をながめ、チェンは布団の中で仰向けに寝ながら、天井を見上げています。
(何か解決策はないのだろうか……?)
 チェンは、先ほどからずっとそればかり考え続けていました。
(何かきっといい方法があるはずだ……)
「あ~! どうしてこんなことになっちゃったんだよ!」
 ボブが珍しく弱気な声を上げました。
「こんなことにさえならなければ、今年の夏休みは家族みんなでエスト湖にキャンプに行ってたのに……」
 試行錯誤に夢中で、周囲の声や物音には全く意識を払っていなかったチェンですが、それでも、ボブの悲しみの声が無意識のうちにかれの思考の中に入りこんできます。
(エスト湖?……エスト湖……)
「今度の冬休みにみんなで行きましょうよ!」
 キャスが、できるかぎり明るい声で提案しました。
「夏だけじゃないわよ、エスト湖が良いのは。今度みんなで冬のエスト湖に行きましょうよ! そう、サイクリングがいいわ。自転車でエスト湖周辺の自然の中をめぐりましょうよ!」
 今度はキャスの声が、無意識のうちにチェンの思考の中に入っていきます。
(何かいい方法はないのか……何か……? 自転車? 自転車……自転……)
 キャスは何とか明るい雰囲気を作ろうと、殊更に陽気な声で次から次へとまくしたてるようにしてしゃべっています。
 初めはすねたような表情をしていたボブも、次第に表情が穏やかになっていき、生来が楽天家のかれは、すぐに本来の明るさを取り戻しました。
 しかし、そのとなりでひざを抱えながら壁によりかかっているタロウの方は、どうしても希望を持つことができませんでした。
「もうダメなんだ……」
 床を見つめたまま、うめくようにそうつぶやきました。
「もうダメなんだよ。終わりなんだ。モンド村はもうなくなっちゃうんだよ」
「なくなっちゃったって、だれも死なないわ! もうみんな避難したもの! 村ぐらい何よ! またみんなで作ればいいじゃない!」
 自分でも驚くくらいの剣幕で、キャスは怒鳴りました。ボワザン小学校の校舎の裏で泣いてしまった彼女とは、もはや別人でした。
(多分、私がこの中で一番強い。だから、私がしっかりしなきゃいけない。みんなの心を支えてあげなきゃいけない)
 という想いが彼女の心を強く成長させていました。
「でも、ぼくの大好きな村なんだ。なくなっちゃうって知ったら、気持ちなんてはずまないよ!」
(はずまない?……はずまない……はずむ……)
 チェンの思考は、いよいよフル回転を始めます。
「もっと強くなってよ、タロウ」
 キャスは悲しげな表情でタロウを見つめました。
「そうだぜ、タロウ。村がなくなっちゃったって、オレたちはずっと一緒だ。また新しい村を作ろうぜ!」
「キャス……ボブ……」
 タロウは少し、微笑んでみました。
「そうだ!」
 唐突に、チェンが布団をけっ飛ばして立ち上がりました。
「行ける! この方法なら、何とかなる!」
 チェンはみんながそこにいることに初めて気がついたような様子で、みんなの方を向きました。
「ブランたちを呼びに行こう!」
 タロウたちは、体力一番のボブでさえ、チェンから突然あふれ出した気迫と自信に圧倒される想いでした。
 チェンは再び、全員の顔を見渡しました。
「行くぞ。作戦会議だ!」

       -つづく-

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2006年5月 7日 (日)

魔法使いブラン~巨大いん石衝突を回避せよ!!の巻~第5回

 ブランたちは八畳の和室で長方形のちゃぶ台を囲んでいます。グリ先生の正面には、左からボブ、タロウ、キャス、チェンの順番で4人が座っていました。そして、タロウたちから見て右側の側面にブラン、左側にノワールが座っています。
 みんな、グリ先生が昔ながらの手回し式の機械で作ってくれたかき氷を食べています。タロウ、ボブ、チェン、ノワールがメロン味、キャスとブランがイチゴ味で、グリ先生は抹茶ミルク味を堪能しています。
 ブランが、かき氷を味わうのもほどほどにして、ゆっくりといん石の話をし始めました。
 最初はかき氷をつつきながら話を聞いていたグリ先生でしたが、聞き終わる頃にはさすがにこわばった表情をしていました。
「ふむ」
 と言ったきり、グリ先生は目を閉じて考え込んでしまいました。
 だれもが沈黙して、グリ先生の次の言葉を待ちました。すでにかき氷に手をつけている人は一人もいませんでした。
 やがてグリ先生は目を開くと、
「無理じゃ」
 ため息まじりに言いました。
 みんな落胆、というよりは、びっくりしてしまいました。
「む、無理って何だよ?!」
 いきりたったボブが叫びました。
「先生ならいん石が止められるんじゃねぇのかよ!?」
「いん石自体は止められんことはないじゃろうが……正確に言うと、無駄なんじゃよ」
「無駄って、どういうことだよ!」
 ばん!
 激しくちゃぶ台をたたいて、ボブが立ち上がりました。その振動で、かれの前に置いてあったかき氷がぐらりと倒れかけます。
 次の瞬間、
「ケル・ベル・ファム!」
 グリ先生の力強い声が、室内に響きました。
 タロウたちは、あっと驚きました。
 倒れかけたかき氷の器が、まるで接着剤をつけたかのように、ちゃぶ台の上にななめのまま固定され、こぼれかけたかき氷も、宙に浮いたままぴたりと止まっているのです。
「これがグリ先生の魔法なんだ」
 と、なぜかノワールが自慢げに言いました。
 物体の「時間」を止める。それがグリ先生の魔法でした。時間を止められた物体は、すべての動きを止め、再び魔法が解除されるまで、何の変化も見せないのです。
「ボブ君、今のうちにかき氷の器を元にもどしてしまいなさい」
 と、グリ先生に言われ、ボブはななめのまま固定されているかき氷の器を手に取りました。すると、かたく固定されていると思われていた器は、意外なほどあっさりと動かすことができました。
 ボブはかき氷の器をテーブルに置き直し、こぼれかけたかき氷を、手でかき集めてそのなかに戻しました。
 グリ先生が再び「合い言葉」を唱えると、器の中ですこし宙に浮いていたかき氷が、
 サクッ
 と、音を立てて器の中に戻りました。
 まるで何事もなかったかのように、かき氷は無事でした。
「なんだよ。この魔法なら、いん石を止められるじゃんか」
 ボブはほっとしたような表情で再び腰を下ろします。
「無駄なんだよ」
 と言ったのは、グリ先生ではなく、チェンでした。
 みんながチェンの方を見ました。
「どうして? 何が無駄なんだよ?」
 少し不機嫌な表情でボブが問いますが、チェンは至極冷静に野球のボールを一つ取り出します。
「説明するより、見た方が早い」
 チェンはグリ先生の方へと向くと、
「グリ先生、ぼくがボールを壁に向かって投げるので、その動きを止めてください」
 と言いました。
 グリ先生が静かにうなずくと、チェンは壁に向かってひょいとボールを放りました。
 すかさずグリ先生が魔法を使います。
「ケル・ベル・ファム!」
 ボールは壁にぶつかる直前に、空中でぴたりと止まりました。
 全員、静かになりゆきを見守っています。
「グリ先生、魔法を解除してください」
 チェンが言うと、グリ先生はもう一度「合い言葉」を唱え、魔法を解除します。
 するとボールは何事もなかったかのように壁にぶつかり、そのまま床にころころと転がりました。
「あ……」
 みんな一様に息をもらしました。
「な、何だよ? どういうことだよ?」
 ボブだけが、よくわかっていない様子です。こういう時の説明役は、いつもタロウでした。
「つまり、いくら上空でいん石を止めても、結局はモンド村に落下するってことだよ」
(もうどうにもならないのかな?)
 タロウは、うつむいて畳を見つめました。

       -つづく-

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2006年5月 4日 (木)

魔法使いブラン~巨大いん石衝突を回避せよ!!の巻~第4回

 エストの森の広場では、ブランがすでに神妙な面持ちで待っていました。どうやら、魔法学校時代の同級生二人はあらかじめ相談していて、最初からノワールがタロウたちをここに連れてくることになっていたようです。
 全員が輪になって芝生の上に腰を下ろしました。魔法使い二人とタロウたちの大議論の始まりです。
 最初に発言をしたのは、ボブでした。
「ブランの魔法で、木材をミサイルにしてぶっ放すってのはどうだ?」
 得意げなボブに、しかしブランは力無く首を振ります。
「ぼくの魔法では、ミサイルみたいな複雑な機械は作れないんだ」
 次に提案をしたのは、タロウです。
「村全体をダイヤモンドに変えちゃうのはどうかな?」
 ブランが口を開くよりも先に、チェンが、
「それも無理だ。相手は核爆弾なみの破壊力を持った巨大いん石なんだ。ダイヤなんだろうが何だろうが粉々さ」
 と否定し、そのまま考え込んでしまいました。
「ノワールの魔法でどこかに飛ばしちゃえばいいんじゃない?」
 と、今度はキャス。しかし、これにはノワールがちょっとあわてました。
「オイオイ、無茶言うなよ。いくらオレの魔法だって、直径一キロもあるいん石をすっ飛ばしたりできねえって!」
 みんな一様にため息をつきました。
 タロウは失意のあまりに空を見上げました。するとそこには、真昼にもかかわらず、とても明るい光を放っている星がありました。
(月……かな?)
 最初はそう思いました。しかしそれは月よりも一回り小さいようでした。
 それが何かということに気づいた時、タロウはその場に凍りつきました。
「おい、どうしたんだ?」
 空の一点を見つめたままぴくりとも動かないタロウの様子を不審に思い、ボブが声をかけます。
「空に何かあるのか?」
 ボブがそう言うと、みんな一斉に空を見上げました。
 太陽のすぐ近くで、白い星が異様なほど力強い輝きを放っています。
 チェンの顔が見る間に真っ青になりました。
「いん石だ! もうあんなに近くに迫ってるなんて!」
「もうイヤ! だれかあれを止められる人はいないの?!」
 キャスが絶望的な悲鳴を上げた時、ブランはとっさにある人物を思い出しました。
「いる! いん石を止められる人がたった一人だけいる!」
 ノワールもすぐにその人物の存在に気がつきます。
「オレたちの先生だ!」


 「魔法使いの先生」と聞いて、タロウが真っ先に思い浮かべたのは、「山奥に住む仙人」というイメージでした。ところが、ノワールの「セ・サンパ」の魔法でタロウたちが連れてこられたのは、なんと南の島でした。目にしみるような真っ青な空、ギラギラと照りつける太陽、真っ白な砂浜と、どこまでも透き通った海……。どこからどう見ても、「山奥」の神妙さとはほど遠いものでした。
「ほら、あれだよ」
 ブランがマシュマロのような指で示した先に、一軒の小屋があります。
 それは、どこからどう見ても、「海の家」でした。軒下には、「氷」ののれんさえかかっています。
「ごめんくださーい」
 タロウは縁側から声をかけました。
 ドタドタドタッ
 騒がしい足音とともに、一人の老魔法使いが姿を現しました。
「うほーい! ひさしぶりのお客さんかのう?」
 年老いた魔法使いはキョロキョロとタロウたちを見回しました。ブランやノワールたちよりも小柄なその体は灰色で、全身しわくちゃでした。ただし、この老魔法使いの場合は、「しわの数だけ元気がある」という雰囲気で、全身から生命のエネルギーがみなぎっているようでした。
「おひさしぶりです、グリ先生」
 ブランが、老魔法使いの前に進み出ました。
「なんじゃ、ブランとノワールか。もうからん話じゃて」
 グリ先生はつまらなそうに言いました。
「で、この子どもたちは?」
「じつは先生……」
 言いかけたブランの言葉を、グリ先生がさえぎります。
「ま、事情はさておき、中でかき氷でも食べんかね?」
 グリ先生がウインクすると、子どもたちはいん石のことも忘れて、大はしゃぎで縁側に上がりました。

       -つづく-

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