2006年8月22日 (火)

一粒の滴

さほど大きくもない朝顔の葉の上に
とどまっている一粒の滴
この大空を 僕の世界を内包している

いつも自由を求め奔放な太陽に
とまどっている七色の滴
この大空が 僕の世界が徐々に閉じゆく

広大な空と海と大地を循環して
朝顔の葉の上に降りてきた一粒の滴は
いつか流れた 北欧の少年の涙
南米の少女の汗だったかもしれない

指をのばして触れようとした瞬間
透明な滴は風にあおられて
大地に砕け 地球に吸いこまれた

僕の涙はどこへ行くのだろう?

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2006年6月20日 (火)

アイスカフェラテ

たとえば息を吸いこむ
緑色のストローを
銜えたまま息を吸いこむと
初夏の若々しい色のトンネルの中を
もの言わぬアイスカフェラテが
昇ってくる
アイスカフェラテがものを言わないのは
発声器官を持ってないからだ
あるいはアイスカフェラテは
ものを考えることができない
と人は言うだろう
我々は偶々脳みそが発達しているから
ものを考えるのは脳みその専業だ
と思っている
脳みそのないものは考えることができない
と思っている
でも本当にそうだろうか
脳みそは偶々ものを考えるのが
得意なだけの器官なのでは
ないだろうか
アイスカフェラテだってものを考える
抗いようのない強烈な気圧の力によって
光無き地獄の洞穴に吸いこまれる時
本当は悲鳴を上げたくてしょうがないのかもしれない
そう考えると急に
アイスカフェラテが可哀相になった
しかしそれ以上に
アイスカフェラテは美味しいのであった

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2005年11月23日 (水)

空飛ぶワニのサラバンド

上体を反らし 空を見つめる

巨大なワニの背中は 天空への階段

昇る途中で バランスが崩れた

突然宙に浮き 空を飛び始めるワニ

しっかりとつかまろう

止まらない 風を置き去りにして

弾丸より速く

膨張する鋼鉄の剣

魔法をかけられた 熱い体で

本能のまま

異次元の扉を開けろ

本能のまま 飛び込んだら

絡みつく衝動 息が乱れる

魂が加速する その先を求める

昇りつめた瞬間 爆発する雪のようなDNA

力無く 墜ちてゆく体

僕は世界を見失い

大地の上で

目覚めた

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2005年9月11日 (日)

切ないドロップス

僕は今、どこにいるのだろう?

地図のない世界 赤黒い夕暮れ

手の中に、デジタルな小窓

文字だけの世界 それだけが現実

ほのかに差す光を吸収し

僕の中に怪物が育ってゆく

知られてはいけない、怪物がいる

体中、鉄の空気が満ちる

吐き出そうとして、ため息をつく夜

怪物は今日もまた太る

小窓の中の夢 見たことのない笑顔

向こうに差す光を想像し

胸の中の透明なドロップは

甘くて切ない、ふしぎな味だ

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2005年8月19日 (金)

世界創造の時

大脳穿つ衝撃 歪んだ神の攻撃

心を閉ざす障壁 これが社会のジョーシキ

今日も膨らむ被害妄想

夢を持てない冷めた構造

神を畏れぬカネの暴走

全部壊して僕は逃走

毎日流れる殺人のニュースに飽きて

僕は粗大ゴミの日にテレビを捨てた

世の中を見渡せばどこもかしこも情報が巣食い

マインド・コントロールされた群衆が消費生活を楽しむ

煩悩天使出撃 淫らな愛の口撃

隣人隠す刑歴 これが世界のジョーシキ

廃墟さまよう夢の葬送

理想国家をうたう幻想

神を争い今も戦争

全部壊して世界創造

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2005年8月18日 (木)

街の人々

街の人々は今日も 暗黒の空に潰されて
夢を奪われ 愛を失い 不安な日々をすごしている
こんな時代に生まれたことを 呪い あきらめて 死んでゆく

街の片隅で今日も 断末魔の叫び 聞こえる
希望を砕かれ 絶望に泣いて 人が人を殺して笑う
こんな世界に生きていくことを 望みはしないと血を流す

戦争 革命 今日もどこかで 誰かが血を流している
明日も見えず 笑うことさえ 忘れたままただ生きてゆく日々
誰も彼も 死に急いで また街に墓碑が増えゆく

街の人々に僕は 何をすることができるのだろう?
愛の詩を書き 夢を歌って 笑顔を取り戻せるなら
僕は歌うよ 希望の歌を 春風に愛を奏でよう

街の人々は今日も 悲しみとともにあるけれど
君の優しさ その笑顔は 誰かの胸に響いている
こんな世界に生まれたけれど 僕は君に会えて良かった

殺戮 貧困 悲劇の連鎖は 今もまだ続いている
だけど今日も この瞬間も 希望の子どもが生まれている
そしていつか この街にも 平和な日々が訪れるよ

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アフリカン・ビューティ

あふれだす 甘いメロディ

君からの 風に撫でられ

アフリカの 太陽さえも

君のため 色褪せてゆく

叩こうよ 大地のリズム

戦おう 大地に立って

響かせる 僕の鼓動を

アフリカの 甘いメロディ

君といる 柔らかな時

アフリカの 草原をゆく

黄緑と 青の世界へ

叩こうよ 原始のリズム

ただいまと 原始の森へ

響き合う 愛のメロディ

たまには軽いノリの詩を。「ことばの遊び人」、Keitenです。この他にも、最近発掘した、大学時代の「おふざけ詩」が3点あるんですよ。『ヒーロー』『玄関マットのブルース』『消化器の挽歌(エレジー)』……これらはUPしない方がいいですね(笑)

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2005年8月15日 (月)

ボタン

真っ白い壁にただ1つのボタンがあった
丸い小さなボタン それ以外は何もない
そのボタンは何色でもなかった
そのボタンは全ての色をしていた
赤であり 白だった
黒であり 黄だった
青であり 緑だった
紫であり 透明だった
これは何かのスイッチだ
社会通念が耳元でささやく
これを押したら何かが起こるはずだ
だけど一体何が起こるのだろう?
良いこと? それとも悪いこと?
これは死刑囚に薬物を注射するためのボタンだろうか?
それとも核ミサイルを発射させて
地球を滅ぼすためのボタンだろうか?
あるいは大金持ちのロバートが恋人にプロポーズする時に
打ち上げるハート形の花火の点火ボタンかもしれない
いや もっと実際的な疑問がある
果たしてこのボタンは
僕が押しても良いのだろうか?
でも……
僕は振り返る
ここには僕しかいない
どこまでも広がる一面の白い世界
雪ではない 無機質な白
空さえもなく ただ白い空間がそこにある
地平線などない 見わたす限り白があるだけ
死刑囚もいない 核ミサイルもない
大金持ちのロバートも
たぶん美しいだろうその恋人のスーザンもいない
この僕と 全ての色を持つ丸い小さなボタンだけが
この世界の色彩の全てだ
何もないこの世界でボタンを押したら
一体何が起こるというのだろう?
もしかしたら僕の身に何かが起こるのかも知れない
だってこの世界には僕とボタンしかないのだから
僕はボタンを前にして途方に暮れた
僕はボタンを前にして6日間考え続けた
そして7日目に僕は決断した
何が起こってもかまわない
だってこの世界には僕しかいないのだから
ふるえる指先でそっと
しかし確実にボタンを
押した

どこかで何かが開く音がした

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流星と僕

星が流れる 遥か夜空を 真二つに裂いて

あたたかな木々が 優しく根付く この世界で

僕は笑って いつも過ごした 柔らかな時間

流れゆく時に 包まれていた あのメロディと

星が流れる 僕の世界を 真二つに裂いて

分かれゆく世界 君の世界に 僕はいない

軽い存在 重い絶望 何もかも消えて

凍りつく時が 苦しまぎれに 愛を叫ぶ

星が流れて 時が流れて そして今ここに

新しい風が 心の中に 吹き始めた

僕は見上げる 星が流れて 天空に描く

キラメク滴よ 流星となり 僕の胸へ

星が流れる 僕は微笑む そして今ここに

流れゆく夜に 僕は描こう この想いを

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2005年8月13日 (土)

憂鬱

一体どうしたのだろうこの国は?

街をゆく女の子はみんな浜崎あゆみの顔をしている

一体どうしたのだろうこの国は?

痩せている子までもがみんな痩せようとしている

一体どうしたのだろうこの国は?

電車の中ではみんなケータイをいじっている

一体どうしたのだろうこの国は?

流行だけを追いかけている

一体どうしたのだろうこの国は?

色とりどりの絶望の中でみんな幸せに暮らしている

一体どうせよというのだ僕の夢は?

頭の中でもがいている

一体どうせよというのだ僕の愛は?

閉じ込められた嵐のようだ

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2005年7月 8日 (金)

天空の鍵

僕は天空を見つめる

ただ1つの鍵だった

王宮には

僕にしか開けられない

扉があった

開けると文鳥のつがいがいて

僕は幸せだった

だけどある時を境に

扉は開かなくなってしまった

王宮が朽ちていく

廃墟の中で僕は

開かない扉を見つめながら

文鳥の夢を見続けた

けれどもその時間にも

終わりが来た

僕は何をしたらいいのだろう?

唯一の扉を開けられなくなった鍵は

もう鍵じゃない

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2005年6月12日 (日)

かえる

ある日突然、「カエル」が生まれた

僕の言っていること、わかるかい?

そいつは「オタマジャクシ」から徐々に

「カエル」になったんじゃなくて、

ある日突然、「カエル」として生を受けたのさ

心は「オタマジャクシ」だったというのが

そいつの悲劇

ろくに泳げず、自分が「肺呼吸」であるということも知らず、

おぼれてすぐに死んでしまったよ

そういう「カエル」は実は少なくないんだ

そんな「カエル」たちのためにも、

僕は心の中にいつも

花を用意しているのさ

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2005年6月 5日 (日)

黒猫

壊滅的な被害だ

神は昼寝でもしていたのか?

日常レベル 崩壊

僕にそんなこと関係ない

四次元の窓から黒猫が現れる

盲従しない猛獣の目で

ピアノの鍵盤を駆け抜ける

不自然な音調 でもそれでいい

世界は不調和の調和 君は自由なのさ

不可解な幻聴 だれにでもある

全ては合理的で矛盾 みんな自由になれ

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2005年5月19日 (木)

木の記憶

電子ブックとかってあるでしょ?

あるいはニュースのサイトとかさ。

とにかく最近は、小説でもニュースでも、

みんなパソコンで読めるんだよね。

郵便物もどんどん減ってるらしい。

でもね、僕は本はなくならないと思うんだ。

なぜなら、人間は「紙」が好きだから。

きっと指先が覚えてるんだろうね、

「紙」が、かつては「木」であったということを。

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2005年5月10日 (火)

紅い少年

紅い少年がいた

直立し

天に顎を捧げるようにして

青い空を見ていた

昆虫は飛んでいない

飛行機も飛んでいない

雲一つない

からっぽの青い空を

ただ、見上げていた

私が三本目の煙草を

吸い終わったころ

紅い少年は、顎を下げた

まっすぐに正面を見つめ

そして走りだした

その先は、崖

やめろ!

私は叫んだ

何度も

何度も

叫んだ

しかし、私の声はすべて

風に溶け込んだ黒いエーテルに

阻まれ

届かない

紅い少年は走り続けた

私も

何度も

何度も

叫び続けた

ほんの一瞬

紅い少年は私の方を見て

微笑んだ

ような気がした

紅い少年はついに

断崖を蹴り

中空へと身を投じた

次の瞬間

背中に

翼が生えた

そして

私は白い部屋で目覚めた

紅い少年はどうなったのだろう?

あの時、翼が生えたのは

紅い少年だったか

黄色い私だったか

もう覚えていない

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2005年5月 8日 (日)

ゆでたまご

ゆでたまごをむく
画家は
その光沢のある白さを
どう表現しようか、悩んだ

ゆでたまごをむく
彫刻家は
そのつるりとした質感を
どう表現しようか、悩んだ

ゆでたまごをむく
音楽家は
その内在的旋律を
どう表現しようか、悩んだ

ゆでたまごをむく
小説家は
その外在的リアリティを
どう表現しようか、悩んだ

でも
一番悩んだのは
夕食にゆでたまごを出した
お母さん

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2005年5月 3日 (火)

光の炊飯器

光る炊飯器を買った
といっても、僕はそれが
光る炊飯器
であるということを知らなかった
段ボール箱にも
説明書にも
炊飯器全体が光る
などとは書いていない
しかし現に、光っている
部屋の明かりを消すと
よくわかる
炊飯器全体が
ぼうっ
と、淡い白光に包まれている
珍妙な炊飯器というほかない

果たして美味しいご飯が炊けるのだろうか?

言いようのない不安に駆られ
夕食時まではまだ間があったが
僕はお米を炊いてみた

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2005年4月30日 (土)

オロチ

巨大な銀の蛇が
おだやかな朝の光を貫いて
轟、というスピードで
すべる
やがて
散在する運命の中継点の一つに
停まる
体表に並ぶ
数々の傷口を開き
大量の
赤血球を放出し
また同じ傷口から
大量の
赤血球を吸収する
そして
また次の運命へと向かって
轟、と去る
東京には
無数の大蛇が棲み
毎日
体内の隅々まで酸素を
運んでいる

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2005年4月21日 (木)

あんぱん宇宙

昨日はあんぱんを食べた
昨日食べたあんパンは
だれかがパン生地にあんこを入れ
焼いたはずだ
しかし、まてよ
コンビニのあんぱんだから
機械が作ったのかもしれない
僕は夜空を見上げた
宇宙は
神様が作ったはずだ
しかし、まてよ
宇宙も機械が作ったのだろうか?
人類は永遠に知ることができない
とりあえず
今日はカレーパンを食べよう

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2005年4月18日 (月)

町の本屋で

とある町の、さびれた商店街
豆腐屋と床屋の間にある
小さな本屋
お団子頭の婆さんが、怒る
愛犬「五月雨」を店先に待たせ
大柄の店主をものともせず
天井から床までのすべての空気を
震わせるような大声で
怒る
「この本屋にはボードレールも無いの!」
九十二歳

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2005年4月17日 (日)

蝶の背の国

もしも、蝶の背に世界があったら

何千ミクロン分の一の国に

何万ミクロン分の一の都市があって

何億ミクロン分の一の人間が

何億人も生活していて

笑い

泣き

怒り

喜び

争い

祈り

愛し

愛され

蝶のすべてを探求し

蝶に痛みを与えつつ

何千万分の一秒の人生を謳歌し

何千世代も繁栄するのだろう

蝶が地に落ち

朽ち果てるまで

現代詩も書いてます。短歌同様、現代詩のなんたるかをわけっているわけではなくて、自分が詩だと思うものを好き勝手に書いてます。

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